単極性矩形波の周波数帯域

我々の研究室では,電気刺激にパルス幅0.5 msの単極性矩形波を用いています.これの周波数帯域は次のように計算できます.

パルス幅が[latex]T[/latex]で振幅が[latex]1/T[/latex]の矩形波[latex]y(t)[/latex]のラプラス変換[latex]Y(s)[/latex]は,
[latex]\frac{1}{T}\left(\frac{1}{s}-\frac{e^{-Ts}}{s}\right)[/latex]
になります.

形式的に[latex]s=j\omega[/latex]を代入して絶対値を求めると,
[latex]|Y(j\omega)|=|\frac{\sin^2(T\omega/2)}{T\omega/2}|[/latex]
になります.つまりsinc関数の絶対値です.

この関数は[latex]T[/latex]が0.5 msのときに,

Graph1

になります.-3 dBの帯域で886 Hz位になります.

筋音の周波数帯域は,加速度では100 Hz以下(変位ではさらに低い)ですから,0.5 msの単極性矩形波は十分フラットな周波数特性を有しています(100 Hzのゲインは0.996).

工学的な説明は上記のとおりですが,電気生理学的には活動電位を1つ発生させればよく,活動電位の持続時間は数ミリ秒ですから,上記より帯域は狭くなるでしょうが,機械的性質を計測する上では問題にはならないと考えられます.活動電位で筋のモデルの力発生要素([latex]f_1(t)[/latex])がインパルス的に収縮力を発揮することを仮定しています.

fig3

第33回バイオメカニズム学術講演会

東北大学で開催されました.当研究室からは,

  • 田村:筋音図のシステム同定による小指外転筋収縮モデルの検討
  • 酒井:システム同定法を用いた短母指外転筋誘発収縮モデルの検討
  • 赤澤:ワイヤレスモーションセンサを用いた剣道竹刀の素振り評価システムの開発

の3件を発表しました.

NEC_0036

学科分け説明会

今日は学科分け説明会でした.私は学部の仕事として学門3の共通説明を行い,学科の研究室見学ツアーで写真撮影をしていました.当研究室は医療物理の見学コースでした.見学者の筋電図と筋音図を計測するデモンストレーションです.筋電図は全波整流してその振幅の10秒間の最大値を求めるものです.筋音図はフーリエ変換してそのスペクトルの低周波成分と高周波成分の比から,大雑把に遅筋と速筋のどちらが優位に働いているかを示すものです(厳密性には欠けます).

12月になってようやく日吉の銀杏も綺麗に黄葉しました