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学科パンフレット

8月のオープンキャンパスから新しい学科のパンフレットを配布しはじめました。下のパンフレットの写真は学科のweb pageに掲載したものです(こういう写真も私が撮影します)。

IMG_1236

パンフレットの表紙がなかなか決まらず,私が作成した案をいくつか業者に提示しました。

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この案は,卒業式のときの集合写真を使ったもので,格調高い感じがします。パンフレットにすると顔がはっきりわかるので,今回は見送りました。

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2つめは学科のロゴとその鏡像を大きく使ったものです。

a17

3つめは,4つの研究分野と2つの教育分野の文字をつかったものです。

実際のパンフレットは2つめと3つめを融合させたデザインになりました。

業者に提示することをしなかった案も10枚以上作りました。アイデアを形にしてみたものの,私の中で全く納得できないものでした。

学内学事発表用スタイルファイル

卒業研究発表会などの要旨の様式を作って使っていました。今回,4年生の必修科目のプレゼンテーション技法の発表会用に,要旨のLaTeXのスタイルファイルが欲しいとのことで,当研究室で使っていたものをベースに,先にリリースされたWordの様式に近くなるように修正したものを提供しました。

余白
上下左右の余白は20 mmです。余白の基準値は1インチ,つまり25.4 mmなので,左の余白を-5.4 mmにします。A4の幅は210 mmなので,右の余白を20 mmにするためにはテキストの幅を 210 – 20 × 2 = 170 mmにします。上と下も同様で,上の余白は-5.4 mmでテキストの高さを 297 – 20 × 2 = 257 mmにします。

\oddsidemargin -5.4mm
\evensidemargin -5.4mm 
\textwidth 170mm
\topmargin -5.4mm 
\headheight 0pt 
\headsep 0pt 
\textheight 257mm
段間の幅
2段組のときの間の幅が10 mmです。

\columnsep 10mm
書体と文字サイズ
日本語の題目は角ゴシック体14 pt,英語の題目はサンセリフ体12 pt,著者名は明朝体10 pt,英文のアブストラクトはセリフ体9 pt,本文は明朝体9 pt,節見出しは角ゴシック体/サンセリフ体9 pt,図と表のキャプションは明朝体/セリフ体9 ptです。
サンセリフ体とは,HelveticaやArialのように「ひげ」がない書体のことです。セリフ体はTimes系の書体のように「ひげ」がある書体のことです。デフォルトの行間を含めて再定義します。行数が48行なので,組版結果をみながら,\normalsizeの行間を14.2 ptにしました。文字サイズの1.5倍程度の行間にすると読みやすいようです。\large, \Largeおよび\LARGEにそれぞれ10, 12および14 ptの文字サイズを割り当てました。タイトルになるLargeとLARGEの行間は本文のそれより狭くしました。

\renewcommand{\normalsize}{%
  \@setfontsize\normalsize\@ixpt{14.2}}
\renewcommand{\large}{%
  \@setfontsize\large\@xpt{15}}
\renewcommand{\Large}{%
  \@setfontsize\Large\@xiipt{14}}
\renewcommand{\LARGE}{%
  \@setfontsize\LARGE\@xivpt{18}}
行どり
節の見出しは2行どりなので再定義しました。また,英数字をサンセリフ体に,和文をゴシック体にしました。

\renewcommand{\section}{\@startsection{section}{1}{\z@}%
   {1\Cvs \@plus.1\Cdp \@minus.1\Cdp}%
   {.1\Cvs \@plus.1\Cdp}%
   {\reset@font\normalsize\sffamily\gtfamily}}
\renewcommand{\subsection}{\@startsection{subsection}{2}{\z@}%
   {1\Cvs \@plus.1\Cdp \@minus.1\Cdp}%
   {.1\Cvs \@plus.1\Cdp}%
   {\reset@font\normalsize\sffamily\gtfamily}}
\renewcommand{\subsubsection}{\@startsection{subsubsection}{3}{\z@}%
   {1\Cvs \@plus.1\Cdp \@minus.1\Cdp}%
   {.1\Cvs \@plus.1\Cdp}%
   {\reset@font\normalsize\sffamily\gtfamily}}
節番号の後ろの余白
半角幅にしました。

\def\@seccntformat#1{\csname the#1\endcsname\hskip .5zw}
図や表の前後の余白
キャプションも含めて詰めました。

\setlength\intextsep{0pt}
\setlength\textfloatsep{0pt}
\setlength\belowcaptionskip{5\p@}
\setlength\abovecaptionskip{0\p@}
参考文献リストの行間
本文より行間を詰めました。

\renewenvironment{thebibliography}[1]
{\section*{\refname\@mkboth{\refname}{\refname}}%
  \list{\@biblabel{\@arabic\c@enumiv}}%
       {\settowidth\labelwidth{\@biblabel{#1}}%
        \leftmargin\labelwidth
        \advance\leftmargin\labelsep
 \setlength\itemsep{0.0zh}%
 \setlength\baselineskip{12pt}%
        \@openbib@code
        \usecounter{enumiv}%
        \let\p@enumiv\@empty
        \renewcommand\theenumiv{\@arabic\c@enumiv}}%
  \sloppy
  \clubpenalty4000
  \@clubpenalty\clubpenalty
  \widowpenalty4000%
  \sfcode`\.\@m}
 {\def\@noitemerr
   {\@latex@warning{Empty `thebibliography' environment}}%
  \endlist}

他にも細かな見た目の修正がいくつかありますが,レイアウトに関してはこの位の修正でほぼWordのテンプレートに近くなります。

箇条書きの環境について,行間を詰めることは環境を定義すればできるのですが,ここでは再定義しないで,本文の箇条書きの環境の中に

\setlength\parsep{0pt}\setlength\itemsep{0pt}

を記述することにしました。

左は欧文がTeXのデフォルトの書体であるComputer Modernで組んだもの,右は\usepackage{times}でセリフ体をTimes Roman,サンセリフ体をHelveticaで組んだもの(実際には互換書体)。

kakikata1 kakikata2

ライフエンジニアリング部門シンポジウム

日吉キャンパスで開催されている計測自動制御学会ライフエンジニアリング部門シンポジウムで,Mechanism of Mechanomyogram and Its Modelのタイトルで発表しました。酒井の修論と田村の修論を合わせた内容です。

写真は日吉キャンパスの入り口の立て看板です。高さが4 mあります。大判プリンタがあれば印刷は簡単ですが,これほどの長尺になると裁断が大変です。

_DSC0066

ブルームーン

8月21日はブルームーンが観察できる日でした。季節の第三回目の満月です。

_MG_4555

EOS 60D,ケンコー ミラーレンズ 800 mm F8 DXで撮影しました。縮小のみしました。

筋音とセンサ

筋音の計測には,様々な振動センサが用いられます.よく用いられるものは加速度センサとレーザー変位計であろうと思います.それそれ加速度と変位を計測します.他には,コンデンサマイクロフォンやピエゾ振動センサが用いられることがあります.コンデンサマイクロフォンでは変位が計測されることが知られています.

振動を計測するセンサは,それぞれの仕様,つまり計測可能とされる周波数の範囲で理想的にはフラットな周波数特性を有します(帯域は–3 dBで示されることが多いはずです).加速度センサでは加速度の周波数がセンサの帯域内であればフラットな特性を,変位センサでは変位の周波数がセンサの帯域内であればフラットな特性になります.ある振動の変位が[latex]A\sin \omega t[/latex]のとき,その加速度は[latex]-\omega^2A\sin \omega t[/latex]になります.つまり,変位では角周波数に依らず振幅は[latex]A[/latex]であっても,加速度では角周波数に依存して[latex]\omega^2[/latex]倍された振幅になります.加速度センサでは変位を基準に考えると,高い周波数が強調されて計測されることになります.例えば,変位が振幅1で周波数5 Hzの正弦波は[latex]\sin 10 \pi t [/latex]で,振幅が1で周波数が50 Hzでは[latex]\sin 100 \pi t[/latex]になります.変位を2回微分して加速度にすると,[latex]-(10\pi)^2\sin 10 \pi t[/latex]と[latex]-(100\pi)^2\sin 100 \pi t[/latex]になります.周波数が10倍違うと加速度の振幅では100倍違うことになります.

一般的に,低い周波数の振動の計測には変位センサが,高い周波数の振動の計測には加速度センサが適していると言われています.筋音の周波数は100 Hz以下ですが,数Hzの成分は筋の収縮特性における粘弾性の情報を含んでおり,一方で数十Hzの成分は皮下組織を粘弾性体とみなすときの固有周波数に対応する周波数です.わずか1桁の周波数の違いではありますが,計測対象と計測条件によって加速度と変位のどちらを計測するかを熟慮する必要があります.

音響用のコンデンサマイクロフォンの周波数帯域は,筋音の周波数より高くなります.人間の可聴域は20〜20,000 Hzで,マイクロフォンの帯域の下限はしばしば数十Hzです.筋音の計測には,帯域の下限が低い,特別なマイクロフォンが必要です.また,コンデンサマイクロフォンでは原理上,マイクロフォンに印可する直流電圧とマイクロフォンの出力を分離するためにハイパスフィルタが必要です.本研究室のように,筋音のシステム同定を行う場合には,フィルタの伝達関数の影響を考慮する必要があります.

sensor

Medical & Biological Engineering & Computing

酒井の修論をまとめた論文,System identification of evoked mechanomyogram from abductor pollicis brevis muscle in isometric contractionがMedical & Biological Engineering & Computingにacceptされました.

短母指外転筋の筋音を加速度センサで計測すると,その信号は4次のモデルで近似でき,コンデンサマイクロフォンで計測するとその信号は3次のモデルで近似できます.しかも,それらの固有周波数は異なります.一方,外転トルクを計測すると2次のモデルで近似できます.我々は前脛骨筋の筋音を加速度センサで計測した信号は6次のモデルで,レーザー変位計で計測した信号は2次のモデルで近似できることを報告しています(T. Uchiyama and K. Shinohara, 2013).前脛骨筋の筋音のモデルとの違いを筋の形状の違い(平行筋と羽状筋)に基づいて解釈し,また筋音のモデルについて述べた論文です.

mmg羽状筋では筋線維の収縮が直接皮膚表面の振動として計測されることに対して,平行筋では(体積を一定とすれば)筋線維の側方への拡大による振動が計測されることになります.この違いが,筋線維の収縮に関連する情報が筋音に強く現れるか否かの違いになると考えています.

 

10 pt

和文と欧文を混植する場合,独立にデザインされた2種類の書体を使うことが多くなります.日本語TeXも例外ではありません.デフォルトの欧文書体は,KnuthがデザインしたComputer Modernです.Computer Modernは,1970年代以前の欧文学術雑誌で使用されている書体によく似ています.1980年代以降は,Timesのような印象の書体が多くなっています.

独立にデザインされた書体をptのみ合わせて和文と混植すると,欧文が小さく見える,あるいは欧文が浮き上がってみえる・沈んでみえる,ことがほとんどであると思います.仮想ボディにおけるベースラインの位置や,欧文のascending lineおよび descending lineの大きさに依存して見え方が違うはずです.

DTPでは,和文主体であれば,欧文を修正します.ベースラインを少し下げたり,文字の大きさを少し大きくしたりして,和欧のバランスをとります.

日本語TeXでは,欧文を修正せずに和文を小さくしています. 標準的に配付されているmin10では,0.962216倍されています.桁数が多いのですが,様々な書体を実測して,何らかの計算で誘導された値であろうと推測されます.

TeXの1ポイントは,1/72.27インチです.DTPでは1ポイントは1/72インチです.1インチは25.4 mmです.同じポイントの文字でもTeXの文字が小さくなります.

もともとTeXのポイントが小さいことに加えて,和文は0.962216倍されますから,10 ptで組んだものでも,和文部分は欧文以上に小さくなります(10 pt × 0.962216 × 72/72.27 ≒ 9.59 pt).TeXで作成すると,ワープロで作成したものより和文が小さくみえるのは,本当に小さい文字で印刷しているからです.学会予稿などで,文字のサイズを指定されているときには,このことを念頭においておくとよいでしょう.

奥村さんのサイトから配付されているjis.tfmは,0.962216倍の幅を持っています. jis.tfmに記述されている文字幅が入るjis.vfもそうなります.jsarticleでは,スタイルファイルのなかで0.961倍の記述があります.これは,文字のサイズは0.962216 × 0.961倍されることになります.TeXの10 ptで作成したものはDTPの約9.21 ptになります(約13 Q,1 Q = 0.25 mm).以前,12 ptで本文を作成する必要があったとき,jsarticleに新しく13 ptの定義を追加してDTPの12 pt相当の和文の文字の大きさにしました.

jarticleとjsarticleでTeXの10 ptで作成したDVIについて調べたものを示し
ます. 「拝啓」の2文字分です.

jarticle
135: fntnum14 current font is min10
136: set2 18258("4752) type=0 h:=4063232+630598=4693830, hh:=297
139: set2 14140("373C) type=0 h:=4693830+630598=5324428, hh:=337
jsarticle
132: fntnum31 current font is jis
133: set2 18258("4752) type=0 h:=-4222+606003=601781, hh:=38
136: set2 14140("373C) type=0 h:=601781+606003=1207784, hh:=76

文字幅はTeXの10 ptなら,655360になります.
0.962216倍で630598になります.
さらに0.961倍で606003になります.

実際に,DTPの10 pt,TeXの10pt,jarticleの10 pt,jsarticleの10 ptに相当するように入力したものを次の図に示します. 図の作成には,Illustratorを使いました.一番上の行は,当該書体(OTF-リュウミン Pro L-KL)の欧文部分に定義されている従属欧文フォントです.2行目以降の欧文は,cmr10です(Type 1).9.59 ptになるのですが,丸め誤差で9.58 ptになっています.

waouryumin

※図をクリックすると図のPDFが開きます.