今日は春学期の打ち上げでした.いつものお店で焼き肉でした.写真は極上カルビです.
月: 2013年7月
10 pt
和文と欧文を混植する場合,独立にデザインされた2種類の書体を使うことが多くなります.日本語TeXも例外ではありません.デフォルトの欧文書体は,KnuthがデザインしたComputer Modernです.Computer Modernは,1970年代以前の欧文学術雑誌で使用されている書体によく似ています.1980年代以降は,Timesのような印象の書体が多くなっています.
独立にデザインされた書体をptのみ合わせて和文と混植すると,欧文が小さく見える,あるいは欧文が浮き上がってみえる・沈んでみえる,ことがほとんどであると思います.仮想ボディにおけるベースラインの位置や,欧文のascending lineおよび descending lineの大きさに依存して見え方が違うはずです.
DTPでは,和文主体であれば,欧文を修正します.ベースラインを少し下げたり,文字の大きさを少し大きくしたりして,和欧のバランスをとります.
日本語TeXでは,欧文を修正せずに和文を小さくしています. 標準的に配付されているmin10では,0.962216倍されています.桁数が多いのですが,様々な書体を実測して,何らかの計算で誘導された値であろうと推測されます.
TeXの1ポイントは,1/72.27インチです.DTPでは1ポイントは1/72インチです.1インチは25.4 mmです.同じポイントの文字でもTeXの文字が小さくなります.
もともとTeXのポイントが小さいことに加えて,和文は0.962216倍されますから,10 ptで組んだものでも,和文部分は欧文以上に小さくなります(10 pt × 0.962216 × 72/72.27 ≒ 9.59 pt).TeXで作成すると,ワープロで作成したものより和文が小さくみえるのは,本当に小さい文字で印刷しているからです.学会予稿などで,文字のサイズを指定されているときには,このことを念頭においておくとよいでしょう.
奥村さんのサイトから配付されているjis.tfmは,0.962216倍の幅を持っています. jis.tfmに記述されている文字幅が入るjis.vfもそうなります.jsarticleでは,スタイルファイルのなかで0.961倍の記述があります.これは,文字のサイズは0.962216 × 0.961倍されることになります.TeXの10 ptで作成したものはDTPの約9.21 ptになります(約13 Q,1 Q = 0.25 mm).以前,12 ptで本文を作成する必要があったとき,jsarticleに新しく13 ptの定義を追加してDTPの12 pt相当の和文の文字の大きさにしました.
jarticleとjsarticleでTeXの10 ptで作成したDVIについて調べたものを示し
ます. 「拝啓」の2文字分です.
- jarticle
-
135: fntnum14 current font is min10 136: set2 18258("4752) type=0 h:=4063232+630598=4693830, hh:=297 139: set2 14140("373C) type=0 h:=4693830+630598=5324428, hh:=337
- jsarticle
-
132: fntnum31 current font is jis 133: set2 18258("4752) type=0 h:=-4222+606003=601781, hh:=38 136: set2 14140("373C) type=0 h:=601781+606003=1207784, hh:=76
文字幅はTeXの10 ptなら,655360になります.
0.962216倍で630598になります.
さらに0.961倍で606003になります.
実際に,DTPの10 pt,TeXの10pt,jarticleの10 pt,jsarticleの10 ptに相当するように入力したものを次の図に示します. 図の作成には,Illustratorを使いました.一番上の行は,当該書体(OTF-リュウミン Pro L-KL)の欧文部分に定義されている従属欧文フォントです.2行目以降の欧文は,cmr10です(Type 1).9.59 ptになるのですが,丸め誤差で9.58 ptになっています.
※図をクリックすると図のPDFが開きます.
月齢3.8
Wordの様式しかないとき
Wordの様式しか用意されていないものを作成するとき,私がとる方法は3通りです.
- Wordの様式をそのまま使う
- 様式をPDF→EPSの順に変換して,様式をEPSで差し込んで本文をLaTeXで作成する
- 本文をLaTeXで作成してEPSに変換してWordの様式の本文に流し込む
最初の方法を使うのは,事務系の書類のときです.数式や図が必要なことは少ないです.
2番目の方法は,理工学部内で使用されているOCR用の用紙で使っています.科目名や日付など,記入箇所がいくつかあることと,表面と裏面の2ページ分を作ればよいので,Wordの様式に記入してEPSを作成します.LaTeXの文書にEPSを差し込むときには,dviwareが理解できる\specialを使って大きさと位置を合わせます.
EPSのBoundingBoxが
%%BoundingBox: 0 0 595 842
のとき,
\special{PSfile="foo.eps" llx=72 lly=770 urx=667 ury=-72 rwi=5950}
にしています.(llx, lly)は左下の座標,(urx, ury)は右上の座標,rwiは幅(0.1 ptを1として)です.計算は次のとおりです.
667 = 595 + 72 842 = 770 + 72 5950 ≒ 210 mm ÷ 25.4 mm/inch × 720
3番目の方法は,ヘッダとフッタがある様式で,数式や図のある数ページ以上の文章を作成する場合に使っています.ヘッダ,フッタの他にマージンなどの変更することができないケースです.文字サイズなど調整したスタイルファイルを作り,それを使ってLaTeXで作成します.文章の校正が終わったところで,dvipsでEPSに変換してWordに1ページに1つずつEPSを挿入します.
EPSに変換するには,次のようにdvipsを使います.
dvips -E -p1 -l1 main -o page1.eps
ページ数が多い場合には,シェルスクリプトなどで全のページのEPSを生成する方がよいと思います.
第52回日本生体医工学会大会/IEEE EMBS Conference 2013
大阪で開催されているIEEE EMBS Conference 2013と第52回日本生体医工学会大会の合同開催で2件発表しました.
第52回日本生体医工学会大会
M. Sato, T. Uchiyama:’System Identification of Mechanomyogram in Voluntary Contraction of Anterior Tibial Muscle’,第52回生体医工学会大会(2013)
IEEE EMBS Conference 2013
Y. Fukuoka, M. Tashiro, T. Uchiyama: Systemes Analysis of Interactions between Micrornas and Genes in Hepatocellular Carcinoma, 35th Annual International IEEE EMBS Conference (2013)
単位の前後の空白
SIでは単位の前に空白を入れることになっています(°,′,″は後).一方,The Chicago Manual of Styleでは基本的には単位の前に空白を入れますが,例外として%,°C,°,′,″には空白を入れないことになっています.The Chicago Manual of Styleの例は9.16に,SIの表記については10.61に記載されています.
- SI
- 10 %,25 °C,30° 25′ 43″
- Chicago
- 10%,25°C,30°25′43″
New Oxford Style Manualでも単位の前に空白をいれますが,°C,°,′,″には空白を入れないことになっています.%については記述されてないようです.また例外として,コンピュータ関連では3.00GHzや1MBのように空白が用いられないと記載されています.
和文の組版では,数字と単位の間には四部あきを入れます.時分秒はベタで組みます.
[1] The University of Chicago, The Chicago Manual of Style 16ed., The University of Chicago Press, Chicago and London (2010)
[2] Oxford University Press, New Oxford Style Manual, Oxford University Press, Oxford (2003)