ブルームーン

8月21日はブルームーンが観察できる日でした。季節の第三回目の満月です。

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EOS 60D,ケンコー ミラーレンズ 800 mm F8 DXで撮影しました。縮小のみしました。

筋音とセンサ

筋音の計測には,様々な振動センサが用いられます.よく用いられるものは加速度センサとレーザー変位計であろうと思います.それそれ加速度と変位を計測します.他には,コンデンサマイクロフォンやピエゾ振動センサが用いられることがあります.コンデンサマイクロフォンでは変位が計測されることが知られています.

振動を計測するセンサは,それぞれの仕様,つまり計測可能とされる周波数の範囲で理想的にはフラットな周波数特性を有します(帯域は–3 dBで示されることが多いはずです).加速度センサでは加速度の周波数がセンサの帯域内であればフラットな特性を,変位センサでは変位の周波数がセンサの帯域内であればフラットな特性になります.ある振動の変位がA\sin \omega tのとき,その加速度は-\omega^2A\sin \omega tになります.つまり,変位では角周波数に依らず振幅はAであっても,加速度では角周波数に依存して\omega^2倍された振幅になります.加速度センサでは変位を基準に考えると,高い周波数が強調されて計測されることになります.例えば,変位が振幅1で周波数5 Hzの正弦波は\sin 10 \pi t で,振幅が1で周波数が50 Hzでは\sin 100 \pi tになります.変位を2回微分して加速度にすると,-(10\pi)^2\sin 10 \pi t-(100\pi)^2\sin 100 \pi tになります.周波数が10倍違うと加速度の振幅では100倍違うことになります.

一般的に,低い周波数の振動の計測には変位センサが,高い周波数の振動の計測には加速度センサが適していると言われています.筋音の周波数は100 Hz以下ですが,数Hzの成分は筋の収縮特性における粘弾性の情報を含んでおり,一方で数十Hzの成分は皮下組織を粘弾性体とみなすときの固有周波数に対応する周波数です.わずか1桁の周波数の違いではありますが,計測対象と計測条件によって加速度と変位のどちらを計測するかを熟慮する必要があります.

音響用のコンデンサマイクロフォンの周波数帯域は,筋音の周波数より高くなります.人間の可聴域は20〜20,000 Hzで,マイクロフォンの帯域の下限はしばしば数十Hzです.筋音の計測には,帯域の下限が低い,特別なマイクロフォンが必要です.また,コンデンサマイクロフォンでは原理上,マイクロフォンに印可する直流電圧とマイクロフォンの出力を分離するためにハイパスフィルタが必要です.本研究室のように,筋音のシステム同定を行う場合には,フィルタの伝達関数の影響を考慮する必要があります.

sensor

Medical & Biological Engineering & Computing

酒井の修論をまとめた論文,System identification of evoked mechanomyogram from abductor pollicis brevis muscle in isometric contractionがMedical & Biological Engineering & Computingにacceptされました.

短母指外転筋の筋音を加速度センサで計測すると,その信号は4次のモデルで近似でき,コンデンサマイクロフォンで計測するとその信号は3次のモデルで近似できます.しかも,それらの固有周波数は異なります.一方,外転トルクを計測すると2次のモデルで近似できます.我々は前脛骨筋の筋音を加速度センサで計測した信号は6次のモデルで,レーザー変位計で計測した信号は2次のモデルで近似できることを報告しています(T. Uchiyama and K. Shinohara, 2013).前脛骨筋の筋音のモデルとの違いを筋の形状の違い(平行筋と羽状筋)に基づいて解釈し,また筋音のモデルについて述べた論文です.

mmg羽状筋では筋線維の収縮が直接皮膚表面の振動として計測されることに対して,平行筋では(体積を一定とすれば)筋線維の側方への拡大による振動が計測されることになります.この違いが,筋線維の収縮に関連する情報が筋音に強く現れるか否かの違いになると考えています.

 

10 pt

和文と欧文を混植する場合,独立にデザインされた2種類の書体を使うことが多くなります.日本語TeXも例外ではありません.デフォルトの欧文書体は,KnuthがデザインしたComputer Modernです.Computer Modernは,1970年代以前の欧文学術雑誌で使用されている書体によく似ています.1980年代以降は,Timesのような印象の書体が多くなっています.

独立にデザインされた書体をptのみ合わせて和文と混植すると,欧文が小さく見える,あるいは欧文が浮き上がってみえる・沈んでみえる,ことがほとんどであると思います.仮想ボディにおけるベースラインの位置や,欧文のascending lineおよび descending lineの大きさに依存して見え方が違うはずです.

DTPでは,和文主体であれば,欧文を修正します.ベースラインを少し下げたり,文字の大きさを少し大きくしたりして,和欧のバランスをとります.

日本語TeXでは,欧文を修正せずに和文を小さくしています. 標準的に配付されているmin10では,0.962216倍されています.桁数が多いのですが,様々な書体を実測して,何らかの計算で誘導された値であろうと推測されます.

TeXの1ポイントは,1/72.27インチです.DTPでは1ポイントは1/72インチです.1インチは25.4 mmです.同じポイントの文字でもTeXの文字が小さくなります.

もともとTeXのポイントが小さいことに加えて,和文は0.962216倍されますから,10 ptで組んだものでも,和文部分は欧文以上に小さくなります(10 pt × 0.962216 × 72/72.27 ≒ 9.59 pt).TeXで作成すると,ワープロで作成したものより和文が小さくみえるのは,本当に小さい文字で印刷しているからです.学会予稿などで,文字のサイズを指定されているときには,このことを念頭においておくとよいでしょう.

奥村さんのサイトから配付されているjis.tfmは,0.962216倍の幅を持っています. jis.tfmに記述されている文字幅が入るjis.vfもそうなります.jsarticleでは,スタイルファイルのなかで0.961倍の記述があります.これは,文字のサイズは0.962216 × 0.961倍されることになります.TeXの10 ptで作成したものはDTPの約9.21 ptになります(約13 Q,1 Q = 0.25 mm).以前,12 ptで本文を作成する必要があったとき,jsarticleに新しく13 ptの定義を追加してDTPの12 pt相当の和文の文字の大きさにしました.

jarticleとjsarticleでTeXの10 ptで作成したDVIについて調べたものを示し
ます. 「拝啓」の2文字分です.

jarticle
135: fntnum14 current font is min10
136: set2 18258("4752) type=0 h:=4063232+630598=4693830, hh:=297
139: set2 14140("373C) type=0 h:=4693830+630598=5324428, hh:=337
jsarticle
132: fntnum31 current font is jis
133: set2 18258("4752) type=0 h:=-4222+606003=601781, hh:=38
136: set2 14140("373C) type=0 h:=601781+606003=1207784, hh:=76

文字幅はTeXの10 ptなら,655360になります.
0.962216倍で630598になります.
さらに0.961倍で606003になります.

実際に,DTPの10 pt,TeXの10pt,jarticleの10 pt,jsarticleの10 ptに相当するように入力したものを次の図に示します. 図の作成には,Illustratorを使いました.一番上の行は,当該書体(OTF-リュウミン Pro L-KL)の欧文部分に定義されている従属欧文フォントです.2行目以降の欧文は,cmr10です(Type 1).9.59 ptになるのですが,丸め誤差で9.58 ptになっています.

waouryumin

※図をクリックすると図のPDFが開きます.

Wordの様式しかないとき

Wordの様式しか用意されていないものを作成するとき,私がとる方法は3通りです.

  1. Wordの様式をそのまま使う
  2. 様式をPDF→EPSの順に変換して,様式をEPSで差し込んで本文をLaTeXで作成する
  3. 本文をLaTeXで作成してEPSに変換してWordの様式の本文に流し込む

最初の方法を使うのは,事務系の書類のときです.数式や図が必要なことは少ないです.

2番目の方法は,理工学部内で使用されているOCR用の用紙で使っています.科目名や日付など,記入箇所がいくつかあることと,表面と裏面の2ページ分を作ればよいので,Wordの様式に記入してEPSを作成します.LaTeXの文書にEPSを差し込むときには,dviwareが理解できる\specialを使って大きさと位置を合わせます.

EPSのBoundingBoxが

%%BoundingBox: 0 0 595 842

のとき,

\special{PSfile="foo.eps" llx=72 lly=770 urx=667 ury=-72 rwi=5950}

にしています.(llx, lly)は左下の座標,(urx, ury)は右上の座標,rwiは幅(0.1 ptを1として)です.計算は次のとおりです.

667 = 595 + 72
842 = 770 + 72
5950 ≒ 210 mm ÷ 25.4 mm/inch × 720

3番目の方法は,ヘッダとフッタがある様式で,数式や図のある数ページ以上の文章を作成する場合に使っています.ヘッダ,フッタの他にマージンなどの変更することができないケースです.文字サイズなど調整したスタイルファイルを作り,それを使ってLaTeXで作成します.文章の校正が終わったところで,dvipsでEPSに変換してWordに1ページに1つずつEPSを挿入します.

EPSに変換するには,次のようにdvipsを使います.

dvips -E -p1 -l1 main -o page1.eps

ページ数が多い場合には,シェルスクリプトなどで全のページのEPSを生成する方がよいと思います.

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第52回日本生体医工学会大会/IEEE EMBS Conference 2013

大阪で開催されているIEEE EMBS Conference 2013と第52回日本生体医工学会大会の合同開催で2件発表しました.

第52回日本生体医工学会大会
M. Sato, T. Uchiyama:’System Identification of Mechanomyogram in Voluntary Contraction of Anterior Tibial Muscle’,第52回生体医工学会大会(2013)

IEEE EMBS Conference 2013
Y. Fukuoka, M. Tashiro, T. Uchiyama: Systemes Analysis of Interactions between Micrornas and Genes in Hepatocellular Carcinoma, 35th Annual International IEEE EMBS Conference (2013)

単位の前後の空白

SIでは単位の前に空白を入れることになっています(°,′,″は後).一方,The Chicago Manual of Styleでは基本的には単位の前に空白を入れますが,例外として%,°C,°,′,″には空白を入れないことになっています.The Chicago Manual of Styleの例は9.16に,SIの表記については10.61に記載されています.

SI
10 %,25 °C,30° 25′ 43″
Chicago
10%,25°C,30°25′43″

New Oxford Style Manualでも単位の前に空白をいれますが,°C,°,′,″には空白を入れないことになっています.%については記述されてないようです.また例外として,コンピュータ関連では3.00GHzや1MBのように空白が用いられないと記載されています.

和文の組版では,数字と単位の間には四部あきを入れます.時分秒はベタで組みます.

[1] The University of Chicago, The Chicago Manual of Style 16ed., The University of Chicago Press, Chicago and London (2010)
[2] Oxford University Press, New Oxford Style Manual, Oxford University Press, Oxford (2003)

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